大島6丁目団地自治会

家賃値上げ反対陳情書全文

独立行政法人都市再生機構が平成21年4月の家賃値上げを
行なわないことを求める意見書提出に関する陳情書

平成20年9月12日

江東区議会議長
星野  博 殿

陳情者  江東区大島6−1−6−853
中島政幸
外182名

〔陳情趣旨〕

 私たち独立行政法人都市再生機構(以下都市機構)賃貸住宅居住者の住まいに対する不安を解消し、居住の安定のために、下記に記す私たちの要望を意見書として政府各関係機関ならびに都市機構本社に提出してください。

@ 現在都市機構が準備を進めている、平成21年4月の継続居住者の家賃の改定に際しては、都市機構賃貸住宅居住者の生活実態及び社会経済情勢にかんがみ、家賃の値上げを行なわず据え置きないしは引き下げのみにとどめること。

A 都市機構賃貸住宅が「住宅セーフティネット法」を担う公的賃貸住宅として位置づけられたことを考慮し、都市機構は高齢者世帯や子育て世帯等に対するハードルをさげるなどの条件整備を行い、家賃減免措置の拡充や、居住支援措置を取るよう努力すること。

〔陳情理由〕

 独立行政法人都市再生機構(以下都市機構)は、約77万戸の都市機構賃貸住宅を管理していますが、継続して居住しているものに適用している継続家賃について、その「改定ルール」により、3年周期で改定を実施してきています。これにより都市機構は来年、平成21年4月1日に家賃改定を行なうとして、同機構経営基本問題懇談会家賃部会を開くなど検討を進めています。

 継続家賃改定の理由について都市機構は、家賃は近傍同種の住宅の家賃を基準として決定する、いわゆる市場家賃を基本としており、「近傍同種家賃は、その時々の市場動向によって変動するので、この変動を継続家賃に適切に反映することによって市場家賃との均衡を図ると共に、UR賃貸住宅居住者間あるいは民間賃貸住宅居住者との間に不公平が生じることのないようにするため」としています。
 しかし私たちはこのような理由での家賃改定には絶対に賛成できません。

 第一に、私たち都市部に住む都市機構賃貸住宅居住者にとっては、機構の実施する家賃改定・見直しは即大幅な家賃値上げを意味しているからであります。

 第二に、機構賃貸居住者間の家賃の不公平は都市機構が作り出したものであり、民間賃貸住宅居住者との不公平は、政府の住宅政策が作り出したものと私たちは考えるからです。

 第三に、高齢化と年金生活世帯の急速な進行と収入低下という、都市機構賃貸住宅居住者の実態から目をそむけているからです。2005年に全国公団住宅自治会協議会が実施したアンケート調査では、60歳以上の世帯主が55.5%、年収446万円未満(第1分位)世帯が67.5%、「年金が収入の中心」世帯が32%と3分の1を占めています。同じ年に都市機構が実施した居住者定期調査でも「65歳以上を含む世帯が33.2%と高齢化が進んでいる。」「メインストックの43万戸では、世帯収入400万円未満の世帯が半数以上(約53%)を占めている。」と発表しています。国土交通大臣はこのことを昨年秋の国会審議などで繰り返し説明し、「居住者の居住の安定」の必要性を強調していました。

 第四に、現在の社会経済情勢を見つめてみると、原油価格の高騰をはじめとする諸物価ならびに公共料金の値上げ、医療費や介護保険料の負担増と私たちの暮らしは厳しさを増しています。これに加えて節約のできない家賃の値上げとなると居住者の生活不安は増大することになります。「独立行政法人都市再生機構法」第25条第2項には「機構は、賃貸住宅の家賃の額を変更しようとする場合においては、近傍同種の住宅の家賃の額、変更前の家賃の額、経済事情の変動等を総合的に勘案して定めなければならない。・・・」とあり、この法律の衆議院付帯決議(2004年5月14日)には「機構は、賃貸住宅の家賃の設定及び変更に当たっては、居住者にとって過大な負担とならないよう家賃制度や家賃改定ルールに対する充分な配慮に努めること。特に、低所得の高齢者等に対する・・・・・については、居住者が安心して住み続けることができるよう十分に配慮すること。」と求めています。

 第五に、家賃見直しの際に重要な要素となる「近傍同種家賃」特に機構が提示する「近傍同種家賃」に対して私たちはまったく信用が置けないものであると考えています。なぜなら、「家賃改定に当たっては、近傍同種家賃を基準とするいわゆる市場家賃を基本とする。」と機構は主張していますが、機構賃貸住宅以外にも都営住宅、公社住宅等があって夫々近傍同種家賃を算定していて、基本となる「市場家賃」とは言えないこと。近傍同種家賃の調査に財団法人日本不動産研究所1社にしか依頼していないこと。同社の理事に機構のトップの名があること。算定根拠・比較住宅等を私たちが質問しても明らかにしないこと等があり、他にもいくつもの疑問点や矛盾点についても機構は答えを拒否しています。

 以上述べましたように、問題は、現在の経済状況や最近の私たち機構賃貸住宅居住者の実態、、それを視野に入れた国会からの要請や、住宅法における位置づけが行なわれるようになったにもかかわらず、都市機構が、中堅所得世帯を施策対象とした旧都市基盤整備公団の市場家賃制度や「改定ルール」をそのまま引継ぎ、変更することなく継続家賃の3年毎の改定実施に固執していることです。これを押しとどめるにはもう政治の力しかありません。来る10月12日には、私たちは大島6丁目団地内において、23区自治協に加盟している団地自治会居住者と共に、国会議員の方々を招き500人規模の家賃値上げ反対の集会を開く計画を進めています。

江東区議会におかれましては、昨年、私たちの陳情を受け入れ、機構住宅民営化反対の趣旨のもと「居住者の居住の安定」を求める意見書を採択し、政府各関係機関に送付していただき、政府の決定を3年先に先送りにする決断をさせる一翼を担っていただきました。江東区には23区内で1番多い29団地16,854戸の都市機構賃貸住宅があり、区民の1割強が暮らしていると思われます。つきましては、私たちが計画している大集会で区議会の動きについてよい報告できますよう、今回の機構の家賃改訂の動き等について、冒頭〔陳情趣旨〕に述べました私たちの要望を、意見書として採択し、内閣総理大臣、国土交通大臣ならびに独立行政法人都市再生機構理事長に対し、ご提出くださるよう陳情いたします。

以上


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